JIS Q 13315-1 コンクリート及びコンクリート構造物の環境マネジメント第1部一般原則|最新 規格|改正 更新情報

JIS Q 13315-1 コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメント 一般原則の規格 JIS Q 13315-1の基本・名称・用語・知識・JIS最新改正更新情報に関して解説!
環境マネジメントとは,組織や事業者が,その運営や経営の中で自主的に環境保全に関する取組を進めるにあたり,環境に関する方針や目標を自ら設定し,これらの達成に向けて取り組んでいくことを「環境管理」又は「環境マネジメント」といい,このための工場や事業所内の体制・手続き等の仕組みを「環境マネジメントシステム」(EMS – Environmental Management System)とも言われ,また,こうした自主的な環境管理の取組状況について,客観的な立場からチェックを行うことを「環境監査」と言う,持続的開発の観点からISO/TC207によって開発されたEMSの規格であるISO 14001について,日本では,国家規格であるJIS規格として発行しています。

この規格は,コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメントの枠組みと基本原則について規定。環境影響の評価とその評価に基づく環境改善の実施方法を規定。

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コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメント 第1部:一般原則 規格 一覧表

JIS Q 13315-1

コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメント 第1部:一般原則の一覧

最新 JIS Q13315-1 規格の詳細 更新日 情報

JIS Q 13315-1の最新の詳細や改正,更新日の情報!

JIS 改正 最新情報

JIS規格番号 JIS Q13315-1 JIS改正 最新・更新日
規格名称 コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメント-第1部:一般原則
英語訳 Environmental management for concrete and concrete structures- Part 1: General principles
対応国際規格 ISO ISO 13315-1:2012,Environmental management for concrete and concrete structures-Part 1: General principles(IDT)
主務大臣 経済産業, 国土交通 制定 年月日 2017年02月25日
略語・記号 No JISQ13315-1:2017

JIS規格「日本工業規格」は、2019年7月1日の法改正により名称が「日本産業規格」に変わりました。

今日,環境問題は人類にとって深刻な課題となっている。
幸いにも,人類は問題の本質を明確に認識し,環境革命とも言うべき概念「持続可能な発展」を生み出した。
この概念は,大気,水,土壌と生物からなる地球の生命を維持する自然システムを危険にさらすことなく,同時に世界の経済成長が将来の世界の幸福の基礎になることを認識して,現世代だけではなく将来世代のニーズを満足する発展を意味する。
そのため今後は,社会的活動,経済的活動と文化的活動のあらゆることに,持続可能性の概念を組み込むことが求められる。
建設産業は,人類の多様な活動の基盤を提供するために膨大な資源とエネルギーを消費していることから,環境に大きな影響を与えている。
国際標準化機関(ISO)は,環境影響を改善するために,製品とサービスに対する環境マネジメントシステムに関する国際規格であるISO 14000規格群を発行してきた。
ISO 14000規格群は,環境影響の評価と評価に基づく環境ラベル・宣言のための一般的規則を規定している。
一方,ISO 21930とISO 21931-1は,ISO 14000規格群を建築物に特化したものとして作成された。
それらは,それぞれ建築物の建築製品の環境宣言に関する枠組み,と建築物の環境パフォーマンス評価とその手順を規定している。
コンクリートは,建築物,橋りょう(梁),ダム,トンネルなどの社会基盤を建設するための重要な材料の一つであり,その使用量は水に次いで多い。
したがって,コンクリートの利用による建設活動は,当然環境負荷を引き起こすが,一方で環境便益も与える。
社会基盤の改善は,交通渋滞を緩和するし,自然災害を防ぐ。
また,コンパクトな都市の開発は,環境負荷拡大を抑制する可能性がある。
セメントの製造には,原料,燃料と混合材として他産業からの産業廃棄物と産業副産物が利用されている。
したがって,コンクリートの利用による建設活動に起因する環境負荷を最小化し,環境便益を最大化するためには,環境負荷の正確な評価が不可欠である。
コンクリート構造物の建設には,多くの骨材,セメントと鉄を消費する。
それらの製造過程では大量の二酸化炭素(CO2)が排出される。
コンクリートには,産業廃棄物,産業副産物と地域によって異なる骨材が用いられる。
コンクリートは,半製品の形で建設現場に納品される。
コンクリート構造物は,個々の要求に基づき多種多様な形態で建設され,様々な環境で長期にわたって使用され,解体され,リサイクルされ,そして最終処分される。
この規格は,こうした特徴をもつコンクリートとコンクリート構造物の環境マネジメントに関する基本原則を規定する。

ISO 13315規格群は,コンクリートとコンクリート構造物に関わる活動から生じる環境負荷の継続的な改善に寄与することを意図している。ISO 13315規格群は,既存の環境規格ISO 14000規格群,ISO 21930とISO 21931-1と整合している。図1にISO 13315規格群と既存の規格との関係を示す。図2にISO 13315規格群の基本的枠組みを示す。

ISO 13315規格群の対象者は,コンクリートとコンクリート構造物に関わる全ての人々(オーナー,設計者,コンクリート製造業者,建設者,認証機関と環境標準仕様策定者)である。

図1-ISO 13315規格群と既存のISO環境規格との関係
JIS Q 14020 環境ラベルと宣言-一般原則
JIS Q 14021 環境ラベルと宣言-自己宣言による環境主張(タイプII環境ラベル表示)
JIS Q 14024 環境ラベルと宣言-タイプI環境ラベル表示-原則と手続
JIS Q 14025 環境ラベルと宣言-タイプIII環境宣言-原則と手順
JIS Q 14031 環境マネジメント-環境パフォーマンス評価-指針
JIS Q 14040 環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-原則と枠組み
JIS Q 14044 環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-要求事項と指針
JIS Q 14050 環境マネジメント-用語
その他のISO 14000規格群
ISO 21930:建築物建設のサステイナビリティ-建築製品の環境宣言
ISO 21931-1:建築物建設のサステイナビリティ-建設事業の環境パフォーマンス評価方法の枠組み-第1部:建築物
ISO 13315:コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメント
第1部:一般原則
第2部:システム境界とインベントリデータ
注記 上記のISO 14000規格群に対応して,次のJISが制定されている。
JIS Q 14020 環境ラベルと宣言-一般原則
JIS Q 14021 環境ラベルと宣言-自己宣言による環境主張(タイプII環境ラベル表示)
JIS Q 14024 環境ラベルと宣言-タイプI環境ラベル表示-原則と手続
JIS Q 14025 環境ラベルと宣言-タイプIII環境宣言-原則と手順
JIS Q 14031 環境マネジメント-環境パフォーマンス評価-指針
JIS Q 14040 環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-原則と枠組み
JIS Q 14044 環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-要求事項と指針
JIS Q 14050 環境マネジメント-用語
ISO 13315 規格

図2 ISO 13315 規格群の基本的枠組み

適用範囲 [1]

この規格は,コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメントの枠組みと基本原則について規定する。この規格は,環境影響の評価とその評価に基づく環境改善の実施方法を規定している。

この規格は,構成材料の製造,コンクリートの製造・リサイクル・最終処分,とコンクリート構造物の設計・施工・利用・解体に関する活動において環境に配慮するために,コンクリートとコンクリート構造物の環境影響を評価し,環境マネジメントを実施する場合に適用する。この規格は,コンクリートとコンクリート構造物のライフサイクル全体,ライフサイクルの各段階,又はライフサイクルのある範囲に対して適用する。また,この規格は,新たに製造されるコンクリートと新たに建設されるコンクリート構造物だけに適用されるものではなく,既存のコンクリートとコンクリート構造物にも適用できる。

この規格は,単一のコンクリートだけでなく類似のコンクリート群に対しても適用でき,また,単一のコンクリート構造物だけではなくコンクリート構造物群に対しても適用できる。コンクリート以外の材料の環境マネジメントについては,JISが定められている場合にはそれに従う。JISが定められていない場合には,この規格と引用規格を参考に適切に扱う。

この規格が対象とする環境は,地球環境,地域環境と局所環境である。建築物の室内環境,並びにコンクリート製造工場とコンクリート構造物の工事現場における作業従事者に対する環境は,この規格の対象には含まれない。この規格は,コンクリート構造物に設置される設備機器の運転によって生じる環境影響は,直接的には扱わない。ただし,設備機器の運転効率に影響を及ぼすコンクリートとコンクリート構造物の特性は,この規格の対象とする。

この規格は,コンクリートの製造,とコンクリート構造物の施工によって二次的に発生する影響についても対象とする。

この規格は,コンクリートの製造,とコンクリート構造物の施工において実施する環境配慮によって生じる経済的影響と社会的影響についても対象とする。

注記1 建築物の室内空気質に関する規格として,JIS A 1901~JIS A 1906とJIS A 1960~JIS A 1969がある。

注記2 工場と工事現場の作業環境は,一般的に,労働安全衛生に関する法律によって規定されている。

注記3 建築物の場合,地球温暖化物質の多くは,冷暖房機器等の運転に伴うエネルギー消費によって発生する。

注記4 コンクリートとコンクリート構造物の熱容量とその他の機能を有益な効果として考慮してもよい。

注記5 コンクリートの製造における二次的な影響としては,将来におけるコンクリートからの重金属の溶出,環境中の重金属のコンクリートによる吸収の可能性,廃棄物処理による環境への影響などがある。

注記6 この規格の対応国際規格,とその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 13315-1:2012,Environmental management for concrete and concrete structures-Part 1: General principles(IDT)

なお,対応の程度を表す記号「IDT」は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,「一致している」ことを示す。

引用規格 [2]

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS Q 14050 環境マネジメント-用語

注記 対応国際規格:ISO 14050,Environmental management-Vocabulary

用語と定義 [3]

この規格で用いる主な用語と定義は,JIS Q 14050によるほか,次による。

副産物(byproduct) [3.1]

工業生産過程における副次的な生産物。

クライアントブリーフ(client’s brief) [3.2]

発注者と使用者の要望・目標・資金,並びに建設プロジェクトの背景とその他の設計条件を示した作業文書。

解体コンクリート(concrete demolition material) [3.3]

構造物の解体によって生じたコンクリート塊。

エコシステム(ecosystem) [3.4]

自然,動物と人間の相互関係。

環境コスト(environmental monetary cost) [3.5]

環境に対する要求を満足するのに必要な経費。

環境設計(environmental design) [3.6]

コンクリート構造物の環境影響を考慮する設計。

環境影響(environmental impact) [3.7]

コンクリートとコンクリート構造物に関わる活動の全体又は一部によって生じる環境への有害又は有益な影響。

環境性能(environmental performance) [3.8]

コンクリートとコンクリート構造物に関わる活動によって生じる環境影響の程度を定量的又は定性的に示したもの。

施工(execution) [3.9]

コンクリート構造物の工事と検査,並びにその文書化の実施に関わる全ての活動。

例 調達,足場設置,型枠組立,配筋,コンクリート打込み,養生,プレキャスト部材の組立てなど

地球環境(global environment) [3.10]

地球の気候変動,オゾン層破壊,エコシステムの変化,資源利用,と地球規模のその他の要因の影響を受ける環境。

検査(inspection) [3.11]

コンクリートとコンクリート構造物に関わる製品又は活動における環境性能が,規定された要求を満足したかどうかを事後に確認する行為。

局所環境(local environment) [3.12]

構造物の敷地で生じる騒音・振動,ダストとその他の要因の影響を受ける環境。

地域環境(regional environment) [3.13]

大気汚染,土壌汚染又は水質汚濁の影響を受ける中規模の環境。

例 市,県,国

サステイナビリティ(sustainability) [3.14]

エコシステムの要素,とその機能が現世代だけでなく将来世代にわたって維持される状態。

注記1 サステイナビリティは,持続可能な発展のゴールであり,これは持続可能な発展の概念を適用した結果生まれる。

注記2 エコシステムの構成要素には,植物,動物,人間とそれらを取り巻く物理的環境が含まれる。人間にとっては,サステイナビリティとは,人間社会の存続にとって必要不可欠な要素である経済的側面,環境的側面,と社会的・文化的側面がバランスのとれた状態のことである。

土壌汚染(soil contamination) [3.15]

土壌が有害物質によって汚染される現象。

照査・検証(verification) [3.16]

コンクリートとコンクリート構造物に関わる製品又は活動における環境性能が,規定された要求を満足するかどうかを事前に確認する行為。

廃棄物(waste) [3.17]

コンクリートとコンクリート構造物に関わる活動によって排出された利用できない物質。

水質汚濁(water pollution) [3.18]

水が有害物質によって汚染される現象。

一般枠組み [4]

一般 [4.1]

コンクリートの製造,とコンクリート構造物の施工に関わる様々な活動における環境マネジメントでは,サステイナビリティの概念を考慮する。

サステイナビリティは,環境的側面に加え,相互に影響しあう経済的側面と社会的側面をももつ。

環境的側面への配慮は,環境コストなどの経済的側面に関連する場合がある。

さらに,環境的側面への配慮は,社会と生活の質の確保,伝統・文化の継承,生態系保全のための合意形成などの,複数世代にまたがる倫理・価値判断を伴う社会的側面に関連する場合がある。

したがって,コンクリートの製造,とコンクリート構造物の施工に関わる活動においては,環境配慮による経済的側面と社会的側面を明確に認識するとよい。また,それらの側面は要求の優先度に基づいて適切に考慮してもよい。

コンクリートとコンクリート構造物における環境マネジメントは,環境負荷を最小化し,かつ,環境的便益を最大化するように実施する。

環境マネジメントの対象には,コンクリートとコンクリート構造物のライフサイクル全体を通して生じる環境影響,と設計段階・製造段階・施工段階・使用段階・最終段階を含む各段階で生じる環境影響を含む。

コンクリートとコンクリート構造物の環境マネジメントの基本的なフローを,図3に示す。

環境マネジメントは,コンクリート構造物のライフサイクルの全体,ある範囲又は各段階において,PDCA(Plan-Do-Check-Action)のプロセスを通じて実施する。

これには,環境要求性能の種類と要求値の設定又は確認,コンクリート,コンクリート構造物又はそれらに関連する活動の環境性能の解析,環境性能が要求性能を満足するかしないかの照査・検証,それぞれの段階の途中と終了後における実際の環境性能の検査,と問題がある場合の適切な処置を含む。

こうした活動とその結果については記録し,保管する。

環境マネジメントの基本的なフロー

図3 コンクリートとコンクリート構造物の環境マネジメントの基本的なフロー

ライフサイクルにおける各段階 [4.2]

コンクリートとコンクリート構造物におけるライフサイクルは,次の段階からなる。

  • ● 設計段階(4.5) クライアントブリーフと法規類に基づいて,環境要求性能を満足するように,コンクリート構造物の諸元を決定し,文書化する段階
  • ● 製造・施工段階(4.6) 構成材料の製造,コンクリートの製造,とコンクリート構造物の施工を行う段階
  • ● 使用段階(4.7) コンクリート構造物の運用,メンテナンス,とレメディアルアクティビティを行う段階
  • ● 最終段階(4.8) コンクリート構造物の解体,部材の再利用,並びにコンクリートのリサイクルと最終処分を行う段階

環境影響領域 [4.3]

コンクリートとコンクリート構造物が及ぼす環境影響として,次の事項を考慮する。

  • ● 地球の気候変動
  • ● 天然資源の使用(原料,水と燃料)
  • ● 成層圏のオゾン水準
  • ● 土地利用と生息地改変
  • ● 富栄養化
  • ● 酸性雨
  • ● 大気汚染
    • ● 光化学スモッグ
    • ● 粒子状物質による大気汚染
    • ● その他の大気汚染(有害物質)
    • ● 室内空気質汚染
  • ● 水質汚濁
  • ● 土壌汚染
  • ● 放射性物質による汚染
  • ● 廃棄物発生による影響
  • ● 騒音・振動

環境影響を評価する場合は,その影響範囲が,コンクリート構造物周辺の局所環境に限定されるのか,又は地域環境若しくは地球環境に及ぶのかを適切に判断する必要がある。

注記 コンクリート構造物のライフサイクルの各段階で生じる環境影響の要素を,附属書Aに示す。

解析 [4.4]

■一般 [4.4.1]

解析は,あるシステム境界の下で適切な指標を用いて,コンクリートとコンクリート構造物の影響領域指標を算定することによって行う。

解析は,次の手順による。

  • ● システム境界と影響領域指標の決定又は確認
  • ● 影響領域指標に対応するデータの準備
  • ● 影響領域指標の算定

解析は,ライフサイクルの各段階においてコンクリート又はコンクリート構造物の環境性能を照査・検証するため,と設計段階を除く各段階において検査するために行う。環境性能を評価するためにシステム境界と影響領域指標を適切に定める。システム境界と影響領域指標が既に決まっている場合には,その妥当性を確認する。

環境性能の評価は,ライフサイクル全体,又はライフサイクルの一つ若しくは複数の段階において行う。

特殊な手法を用いる場合は,その特性を完全に理解したうえで用い,その手法について説明する。

■システム境界 [4.4.2]

システム境界の決定においては,地理的な範囲,時間的な範囲,と関連する産業の範囲を明確にする。ライフサイクル全体,又はライフサイクルの一つ若しくは複数の段階において,コンクリートとコンクリート構造物の環境性能を評価するためには,インプットとアウトプットの範囲を合理的に設定する必要がある。また,ライフサイクル全体でコンクリート構造物の環境性能を評価する場合は,耐用年数も合理的に設定する必要がある。

コンクリートに高炉スラグ微粉末,フライアッシュとシリカフュームのような他産業からの副産物を有効利用する場合,他産業で再生コンクリート骨材を有効利用する場合などでは,関連する産業との間のシステム境界を適切に設定するのがよい。

設定したシステム境界は,その妥当性を示すため,明確に記録する。

■インベントリデータ [4.4.3]

インベントリデータは,コンクリートとコンクリート構造物のライフサイクルにおける全ての活動において,定められたシステム境界の範囲内で取得し,客観的で透明性をもつものとする。

インベントリデータは,既存の情報,又は新たに取得した情報に基づいて決定する。情報を直接取得することが困難な場合は,代替指標を定め,それらを取得してインベントリデータとしてよい。いずれの方法であっても,インベントリデータを取得する手法と条件,並びに必要に応じて情報入手先を,明確に書面に記録する。

■影響領域指標 [4.4.4]

4.3に規定する環境影響に関する環境性能を具体的に表す影響領域指標には,環境影響の大きさを定性的又は定量的に表すことのできる指標を採用する。

複数の指標を用いる場合は,それぞれの指標ごとに環境性能を評価してもよい。また,複数の指標を統合して評価してもよい。

影響領域指標を算定するためのデータを取得する手法と条件は,明記する。データの取得先も必要に応じて明記する。

設計段階 [4.5]

図4に,構造物の環境設計の一般的なフローを示す。

コンクリートとコンクリート構造物に要求される環境性能(以下,要求性能という。)は,クライアントブリーフに従うとともに,法と規制を満足するよう設定し,適切な指標によって表示する。

一方,コンクリート構造物が実際に保有する環境性能(以下,保有性能という。)は,クライアントブリーフを実現するために設定されたコンクリートの性能,とコンクリート構造物の諸元に基づいて,4.4に示された手法によって算定する。

上記の,要求性能と保有性能とを比較し,保有性能が要求性能を満足しているかどうかを照査・検証する。予想される保有性能が要求性能を満足する場合は,設計の詳細を文書化する。予想される保有性能が要求性能を満足しない場合は,保有性能が要求性能を満足できるように,コンクリートの性能と/又はコンクリート構造物の諸元を修正する。また,予想される保有性能が要求性能を満足しない場合には,その影響の評価を通じて,要求性能自体を変更してもよい。プロジェクトの達成が不可能と判断される場合は,当該プロジェクトの中止を決定してもよい。

設計段階におけるコンクリートの性能と/又はコンクリート構造物の諸元に関する詳細は,他の各段階において極めて重要な情報となる。そのため,性能設定と照査・検証に関連する全ての情報は,適切に文書化し,保存する。

構造物の環境設計

図4 構造物の環境設計

コンクリート構造物の構造設計と耐久設計は,環境設計と分離して行うとよい。また,コンクリート構造物は,周辺と適切に調和し,魅力的な美的外観をもつように設計する。

製造・施工段階 [4.6]

コンクリートの製造段階,とコンクリート構造物の施工段階においては,要求性能を確認又は設定した上で,製造計画と施工計画を立案し,製造段階と施工段階で生じる環境影響を算定する。算定は,4.4による。

算定された性能が,要求性能を満足しているかどうかを確認する。算定は,4.4による。

コンクリートの製造,とコンクリート構造物の施工は,それぞれの計画に従って実施する。製造・施工の途中段階,とその終了後には,実際に生じた環境影響を確認する。

その際,それらが要求性能を満足しない場合には,環境を改善するための対策を講じる。改善対策がとられている間,と対策後には,環境改善効果を確認し,要求性能を満足するまで,これらの一連の活動を繰り返し行う。

コンクリートに関する環境影響は,構成材料の採取,採掘,製造,とそれらのコンクリートプラントへの運搬の過程,並びにコンクリートの製造,とその建設現場への運搬の過程を含めて算定する。補強材についても,同様に算定する。

コンクリートの製造と運搬においては,天然資源の使用量,エネルギー消費量,と廃棄物の発生量を減らすとともに,騒音・振動,ダスト,水質汚濁などの被害を最小にする。

コンクリート構造物の施工においては,資材の調達,足場の設置,型枠の組立て,配筋,コンクリートの打込みと養生,プレキャスト部材の組立てなどにおけるエネルギー消費量,と廃棄物の発生量を減らすとともに,騒音・振動,ダスト,大気汚染,水質汚濁と土壌汚染の被害を最小化する。コンクリートの製造段階又はコンクリート構造物の施工段階に関わる全ての活動は,適切に文書化し,保存する。

使用段階 [4.7]

コンクリート構造物の使用段階においては,環境設計で設定された要求性能が実際に得られているかどうかを確認する。要求性能を満足していない場合には,適切な対策を講じる。構造物の環境性能が使用段階の初期の要求性能を満足していた場合であっても,その運用に関する要求と基準に変更があった場合,又はメンテナンスとレメディアルアクティビティによって構造物の環境性能に変化が生じた場合には,環境性能が要求性能を満足しているかどうかを確認する必要がある。要求性能を満足していない場合には,適切な対策を講じる。

注記 レメディアルアクティビティは,リペア,リハビリテーション,リファービシュメント,リニューアル,リノベーション,コンバージョン,レトロフィッティング,補強,と腐食性物質からの保護に関する全てのアクティビティを含む。

メンテナンスとレメディアルアクティビティにおいて,設計段階で設定されていない工事を実施する場合には,工事計画を立案し,その工事計画において生じる環境影響を算定する。算定された環境影響については,新たに設定された要求性能を満足していることを確認する。算定は4.4による。工事は,要求性能を満足する工事計画に従って実施する。工事中と工事終了後には,実際に工事の結果として生じた環境影響を確認する。実際の環境影響が要求性能を満足しない場合は,環境改善のための対策を講じる。改善対策の実施中と実施後には,環境改善効果を確認し,要求性能が満足されるまでこれらの一連の活動を繰り返し行う。

メンテナンスとレメディアルアクティビティによって構造物の機能の全て又は一部が停止するような場合には,それによってもたらされる環境影響を低減するような対策を講じる。例えば,道路構造物のリペアの場合,それによって発生する通行止めと交通渋滞の間の代替施設・設備によって生じる環境影響について考慮する。

建築物の場合には,冷暖房の運転エネルギーも考慮する。

コンクリート構造物の使用段階に関係する全ての活動は,適切に文書化し,保存する。

最終段階 [4.8]

コンクリート構造物の解体の段階,コンクリート部材の再利用の段階,と解体コンクリートのリサイクル又は最終処分の段階においては,これらの各段階又は全ての段階において,次の項目を設定又は確認した後に,解体,再利用,リサイクル又は最終処分を実施する。

  • ● 騒音・振動,ダストと廃棄物最終処分量に対する要求値
  • ● 関連する活動の環境影響
  • ● 環境影響が要求値以上か未満か

これらの活動が実施された後,その結果を検査し,問題がある場合は,適切な対策を講じる。各段階での活動,とそれらの結果は,適切に文書化し,保存する。

コンクリート構造物の解体は,解体作業によって近隣に被害を及ぼさないように,また,発生する廃材のリサイクルに困難を来さないように行う。また,最終処分における環境負荷が最小となるよう配慮する。

解体コンクリートのリサイクルにおいては,過大なエネルギーを必要とせず,大量の廃棄物を発生させないような方法を用い,騒音・振動とダストによる近隣被害を及ぼさないようにする。リサイクルされた材料と製品は,その用途に適した性能をもつものとする。

解体コンクリートと廃棄物の運搬は,運搬ルートの沿道に騒音・振動とダストを発生させないように行う。

解体コンクリートをリサイクルできない場合は,土壌汚染,水質汚濁と景観破壊への対策が講じられた最終処分場において処分する。廃棄物に除去できない有害物質が含まれている場合は,安全性が確保できる方法で適切に最終処分する。

コンクリート構造物と部材は,安全性,環境影響,とその他の関連する影響が適切に評価され,かつ,容認できるとみなせる場合には,元の位置に残置してもよい。

ラベルと宣言 [4.9]

コンクリートとコンクリート構造物の環境影響評価の結果を用いて,環境ラベルと環境宣言を行うことができる。

附属書A (参考)コンクリートとコンクリート構造物のライフサイクルにおいて考慮すべき段階と環境影響要因

表A.1-コンクリートとコンクリート構造物のライフサイクルにおいて考慮すべき段階と環境影響要因
段階 区分 地球の気候変動 天然資源の使用 成層圏のオゾン濃度 土地利用と生息地改変 富栄養化 酸性化 大気汚染水質汚濁土壌汚染放射性物質による汚染 廃棄物発生による影響 騒音・振動 環境影響の改善策
設計 設計長寿命化による環境便益と環境負荷軽減の考慮,多機能設計
製造・施工 構成材料の製造セメントCO2 化石燃料,非金属鉱物(石灰石) 土地利用の変化,生息地の改変 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 重金属 重金属 産業副産物と廃棄物の使用
練混ぜ水CO2 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM
骨材a)CO2 非金属鉱物,水 土地利用の変化,生息地の改変 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM重金属 重金属 ラドン-222 ダスト,スラッジ 産業副産物の使用
混和材CO2 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 重金属 重金属 ラドン-222 産業副産物の使用
化学混和剤 CO2 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM ノニルフェノール誘導体 ノニルフェノール誘導体
補強材b)CO2 化石燃料,鉄鉱石 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 鋼のリサイクル
コンクリートの製造 CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM スラッジ 騒音・振動
プレキャストコンクリートの製造 型枠CO2 鉄鉱石 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 廃棄物
締固めCO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 騒音・振動
養生CO2 水,化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM重金属 廃棄物
製造・施工 運搬トラックCO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 騒音・振動
鉄道CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 騒音・振動
船舶CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM
ベルトコンベアCO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM
施工 CO2 化石燃料,材木 土地利用の変化,生息地の改変 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM,ダスト 重金属 重金属 騒音・振動
使用 運用 CO2 化石燃料 オゾン層破壊物質 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM,VOC 重金属 重金属 ラドン-222 蓄熱効果 (CO2吸収)c)
メンテナンス(運搬を含む)CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM
レメディアルアクティビティ(運搬を含む)CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM,VOC 廃棄物
最終 解体 CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM,ダスト 廃棄物 騒音・振動 (CO2吸収)c)
運搬トラックCO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 騒音・振動
鉄道CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 騒音・振動
船舶CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM
ベルトコンベアCO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM
再利用/リサイクル CO2 化石燃料 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM 重金属 重金属 廃棄物 騒音・振動(CO2吸収)c)
最終処分 CO2 化石燃料 土地利用の変化,生息地の改変 NOx NOx,SOx NOx,SOx,PM重金属 重金属 騒音・振動 (CO2吸収)c)
注記
CO2:二酸化炭素,NOx:窒素酸化物,SOx:硫黄酸化物,PM:粒子状物質,VOC:揮発性有機化合物

● a) 骨材には,天然,砕石・砕砂,人工骨材,再生骨材,スラグ骨材,その他が含まれる。
● b) 補強材には,無機系,有機系と金属系の補強材が含まれる。
● c) コンクリートにはCO2の吸収効果も期待されるが,現時点では,他の要因と同じように定量的に評価するのは困難である。

環境マネジメント関連 主なJIS規格 一覧

規格番号 規格名称 規格番号 規格名称
JISQ13315-1コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメント-第1部:一般原則JISQ14031環境マネジメント-環境パフォーマンス評価-指針
JISQ13315-2コンクリートとコンクリート構造物に関する環境マネジメント-第2部:システム境界とインベントリデータJISQ14040環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-原則と枠組み
JISQ14001環境マネジメントシステム-要求事項と利用の手引JISQ14044環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-要求事項と指針
JISQ14004環境マネジメントシステム-実施の一般指針JISQ14050環境マネジメント-用語
JISQ14005環境マネジメントシステム-環境パフォーマンス評価の利用を含む環境マネジメントシステムの段階的実施の指針JISQ14051環境マネジメント-マテリアルフローコスト会計-一般的枠組み
JISQ14006環境マネジメントシステム-エコデザインの導入のための指針JISQ14063環境マネジメント-環境コミュニケーション-指針とその事例
JISQ14015環境マネジメント-用地と組織の環境アセスメント(EASO)JISQ17021-2適合性評価-マネジメントシステムの審査と認証を行う機関に対する要求事項-第2部:環境マネジメントシステムの審査と認証に関する力量要求事項

用語、原則・仕様、監査、環境アセスメント、環境ラベル及び宣言、環境パフォーマンス評価、ライフサイクルアセスメント、温室効果ガス、環境側面、エネルギー、適合性評価〔認定/マネジメントシステム認証/自己適合宣言〕

用語・表し方・製図、基本、ねじ用限界ゲージ、ねじ部品共通規格〔寸法/表面処理/機械的性質/試験・検査〕

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